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「なんか外国人減った?」観光客は減ったのに家賃は下がらない 東京賃貸の不思議

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「最近、なんか外国人減った?」

浅草の雷門前や銀座の中央通りを歩いていて、ふとそう感じたことはありませんか。2〜3年前は、スーツケースを引いた旅行者で歩道がいっぱいだったのに、最近はなんだか歩きやすい。そんな感覚を持っている人は、実は少なくないんです。

その一方で、お部屋探しをしている人からはこんな声も聞こえてきます。「観光客が減ったなら、家賃も少しは落ち着くのかと思ったのに、全然安くならない」。

観光客は減っているのに、家賃は下がらない。いったい東京の賃貸市場では何が起きているのでしょうか。

この記事では、「外国人が減った」という体感が本当なのかを統計で確かめたうえで、東京の家賃がなぜ下がらないのか、その理由をわかりやすく解説します。最後に、家賃が高止まりする今の東京で、少しでもお得に部屋を借りるための考え方もご紹介しますので、これからお部屋探しをする方はぜひ最後まで読んでみてください。



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1. 本当に減ってる?データで見る東京のインバウンド失速


「外国人が減った」というのは、ただの気のせいなのでしょうか。結論から言うと、その感覚は統計でもしっかり裏付けられています。まずは数字で確認してみましょう。


体感は正しかった 東京の外国人宿泊は2割近く減少

観光庁の「宿泊旅行統計調査」によると、2026年6月の東京都の延べ宿泊者数は約737万人泊で、前年同月から15.9%減りました。このうち日本人は約314万人泊(14.2%減)なので、差し引きで外国人の宿泊を計算すると約423万人泊。前年同月と比べて、2割近く落ち込んだ計算になります。

全国で見ても同じ流れです。外国人の宿泊者数は2025年11月ごろから前年割れが続き、2026年2月に一度は持ち直したものの、3月に再び減少、4月には減少幅が2桁に広がりました。



主役は「中国人客の急減」

減少の最大の要因は、中国からの旅行者が大きく減ったことです。日本政府観光局(JNTO)の推計では、2026年1〜6月の訪日客は前年比2.0%減となり、5年ぶりのマイナスになりました。中国政府が自国民に日本への渡航を控えるよう呼びかけた影響で、中国本土からの訪日客は56.4%減と半分以下に。一方で、韓国は18.6%増、台湾は20.9%増と、むしろ伸びています。

銀座の百貨店や浅草の団体ツアーは、もともと中国からの旅行者の存在感がとても大きかった場所です。日本百貨店協会の発表では、2025年12月の全国百貨店で、中国人観光客の来店数と免税売上高がともに前年から約4割減ったとされています。街で「減った」と感じやすいのは、こうした目立つ層がごっそり抜けたからなんです。



訪日客は地方へ 東京の「取り分」が縮んでいる

もう一つ見逃せないのが、訪日客の行き先そのものが変わってきていることです。2026年6月の外国人宿泊者数は、東京を含む三大都市圏で前年同月比16.8%減だったのに対し、地方部は7.4%減にとどまりました。

長い目で見ると、この傾向はさらにはっきりします。外国人宿泊者のうち東京都で泊まった人の割合は、2019年11月には34.2%でしたが、2025年11月には27.0%まで下がっています。訪日客全体が増えても、東京に泊まる人の割合は少しずつ縮んでいたわけです。



ただし「減った」のはピークからの話

とはいえ、東京から外国人観光客が消えたわけではありません。2025年までは訪日客が右肩上がりで増え続けていて、全国の外国人延べ宿泊者数は2023年の約1億1775万人泊から、2024年には約1億6446万人泊へと約4割も増えていました。

つまり今の落ち込みは、過去最高だった2025年の「混みすぎ」の状態から下がったもの、と考えるのが正確です。2〜3年前と比べて「減った」と感じるのは、ちょうどピークの記憶と比べているからかもしれません。





2. それでも家賃は下がらない 東京賃貸の現状


単身向けの家賃は11万円台 過去最高を更新中

不動産情報サイトを運営するアットホームの調査によると、2026年8月の東京23区の賃貸マンションの平均家賃は、単身者向けで約11万4300円。前の月をわずかに上回り、過去最高を更新しました。

この調査でいう「家賃」は、毎月払う賃料に管理費・共益費を足した金額です。一人暮らし向けの部屋でも月11万円を超えるのが、今の東京では当たり前になりつつあります。



観光客が減り始めた時期にも、家賃は上がり続けた

注目したいのは、家賃が上がり続けた時期と、外国人観光客が減っていった時期がちょうど重なっていることです。

1年あまり前の2025年6月時点では、東京23区の単身者向けマンションの平均家賃は約10万1600円でした。その後、外国人の宿泊者数は2025年11月ごろから前年割れが続きます。それでも家賃の上昇は止まらず、2026年3月には約11万1900円と前年同月比13.0%も上がり、22カ月連続で最高値を更新しました。

2025年6月と2026年8月を比べると、単身向けの家賃は1年2カ月ほどで1万円以上も上がった計算です。少なくとも今のところ、観光客の減少は家賃にブレーキをかけていません。



一度は止まった上昇、すぐに最高値へ

ただ、まったく変化がなかったわけでもありません。アットホームの発表では、2026年7月に「25カ月連続で最高値を更新していた東京23区のシングル向きが26カ月ぶりに下落した」とされています。

「ついに頭打ちか」と話題になりましたが、翌8月には再び過去最高を更新しています。一時的な足踏みはあっても、上昇の流れそのものが崩れたとは言いにくい状況です。




家賃だけじゃない 土地もマンション価格も強気のまま

強いのは家賃だけではありません。2026年の基準地価(7月1日時点)では、浅草の商業地で26.9%も上がった地点があり、外国人観光客の増加を背景に店舗やホテルの需要が強いとされました。観光客の減少が数字に出始めた後の調査でも、浅草の土地の値上がりは続いていたんです。

マンション価格も高い水準です。東京カンテイの調べでは、2026年6月の東京23区の中古マンション平均価格は70平方メートル換算で1億2741万円と、前年同月比23.3%上昇しました。マンションが買いにくくなるほど、賃貸に住み続ける人が増え、家賃を押し上げる要因になります。



貸し手と借り手の「温度差」も

一方で、強気なのはあくまで貸す側、という見方もできます。LIFULLの分析では、東京23区外の都下で、掲載されている賃料が約12万6000円なのに対し、実際に問い合わせが集まる物件の賃料は約10万8000円と、約1万8000円の開きがあるとされています。

募集家賃が上がっていても、借り手がそのまま受け入れているとは限らないわけです。この「温度差」は、あとでお話しするお部屋探しのコツにもつながってきます。




3. 観光客と家賃が連動しない3つの理由


観光客は減っているのに、家賃は上がり続けている。この一見ちぐはぐな現象には、ちゃんと理由があります。ここでは大きく3つに分けて整理してみます。



観光客と「住む人」は、そもそも別の市場

まず押さえておきたいのは、観光客が泊まる場所と、私たちが借りて住む部屋は、基本的に別の市場だということです。旅行者の多くはホテルや旅館、民泊を使います。観光客が減って影響を受けるのはこうした宿泊施設で、一般の賃貸マンションに直接響くわけではないんです。

「観光客が減れば民泊が撤退して、賃貸に物件があふれるのでは?」と思う人もいるかもしれません。でも、住宅宿泊事業法にもとづいて稼働している民泊の届出住宅は、2026年5月時点で全国4万745件ほど。東京の賃貸住宅全体から見れば、ごく小さな規模です。

しかも民泊の利用はむしろ伸びていて、2026年2〜3月の延べ宿泊者数は約172万人泊と前年同期比43.0%増、そのうち東京都が全国の半分近くを占めています。少なくとも今のところ、「民泊が次々に普通の賃貸へ戻ってくる」という状況にはなっていません。



外国人の「観光客」は減っても、「住民」は増えている

2つ目の理由は、東京に住む外国人が増え続けていることです。冒頭の「なんか外国人減った?」という感覚は、観光客については当たっていました。ところが、東京で暮らす外国人に目を向けると、話はまったく逆になります。

東京都の資料によると、都内の外国人人口は2025年1月時点で約72万人でしたが、2026年1月時点では約78万人に増え、都民の5.6%を占めるまでになりました。新宿区・豊島区・荒川区では、すでに住民の10%を超えています。

この勢いは、東京の人口全体の動きを見るとよくわかります。住民基本台帳をもとにした集計では、2020年から2025年にかけて東京都の人口は約16万8000人増えましたが、そのうち外国人の増加が約14万4000人。日本人の増加は約2万4000人にとどまっています。この5年間の東京の人口増は、ほとんどが外国人住民によるものだったんです。

旅行者はホテルに泊まりますが、住民は部屋を借ります。観光客が減る一方で、賃貸住宅を必要とする外国人は増えている。これが家賃を下支えする大きな理由の一つです。



新しい部屋が増えにくい

3つ目は、部屋を供給する側の事情です。需要が強くても、新しい賃貸住宅がどんどん建てば、家賃の上昇は抑えられます。ところが今は、その供給が伸び悩んでいます。

矢野経済研究所の調査によると、2025年度に新しく着工された賃貸住宅は全国で30万8906戸で、前年度の86.5%にとどまりました。同研究所は、人口減少や建設費の高騰、ローン金利の上昇を背景に、新設の賃貸住宅は今後も減っていくと予測しています。そのうえで、都市部の需要は底堅く、駅近など便利なエリアに新しい物件が集中していくとみています。

さらに、マンションを買うハードルがとても高くなっていることも、賃貸の需要を押し上げています。不動産経済研究所によると、2026年7月の東京23区の新築マンションの平均価格は2億6520万円と、単月で過去最高でした。「買いたくても買えない」人が賃貸に住み続けることで、部屋の取り合いがさらに強まっているわけです。



観光客の増減より大きな力が働いている

3つの理由をまとめると、東京の家賃を動かしているのは、観光客の増減よりもずっと大きな力だといえます。住む人は増えている、新しい部屋は増えにくい、家を買うのも難しい。この構造が変わらない限り、観光客が多少減ったくらいでは、家賃が大きく下がるとは考えにくいでしょう。



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4. これから部屋を探す人はどう動くべきか

ここまで見てきたように、観光客の減少は東京の家賃を下げる力にはなっていません。では、これから部屋を借りる人は、どんなことを意識すればいいのでしょうか。



部屋を探す人へ:「待てば下がる」は期待しにくい

まず持っておきたいのは、「観光客が減ったから、そのうち家賃も下がるだろう」という期待はしにくい、という前提です。住む人が増え、新しい部屋が増えにくい状況が続く限り、様子を見ている間にむしろ相場が上がってしまう可能性もあります。

2026年7月に23区の単身向け家賃が一度下がったときも、翌月にはすぐ過去最高を更新しました。一時的な足踏みを「下落の始まり」と読むのは、少し早いかもしれません。



募集家賃は「言い値」と考える

もう一つ覚えておきたいのが、募集されている家賃がそのまま「相場」とは限らない、ということです。2章で紹介したように、都下では掲載賃料と、実際に問い合わせが集まる物件の賃料に約1万8000円もの差がありました。

貸す側が強気の金額をつけても、借り手がついてこない物件は少なくありません。長く空室になっている物件や、まわりと比べて割高な物件なら、家賃や初期費用の相談をしてみる価値は十分あります。とくに秋から年末にかけては引っ越しの閑散期にあたり、条件の相談がしやすい時期でもあります。



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まとめ


街を歩いて「なんか外国人減った?」と感じたとき、その感覚は間違っていませんでした。東京の外国人宿泊は前年から2割近く減り、とくに中国からの旅行者は半分以下に。訪日客の行き先も地方へと広がり、東京の「取り分」は少しずつ縮んでいます。

それでも、東京の家賃は下がっていません。23区の単身向けマンションの家賃は11万円台で過去最高を更新中。その背景には、観光客とは別の市場で、東京に住む外国人を含めた「住む人」が増え続けていること、そして建設費の高騰などで新しい部屋が増えにくいことがあります。

つまり、東京の家賃を動かしているのは「観光客の数」ではなく、「この街に住む人の数」と「新しく建つ部屋の数」。この構造が続く限り、「待てば家賃が下がる」と期待するのは難しそうです。

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  • 執筆監修

    趙暉士(ちょうきし)|宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

    賃貸リーシングとコンサルタントを経験し、後に売買仲介業務に従事。

    (株)大京穴吹不動産、都心営業部、渋谷店、流通営業1課

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