
観光客でも移住者でもない"第三の外国人"急増中——デジタルノマドが変える日本の賃貸常識
「うちのマンション、最近外国人から問い合わせが来るようになって……」
大家さんや管理会社の方から、そんな声をよく聞くようになりました。かと思えば、「日本に2〜3か月だけ住みたいんですけど、部屋って借りられますか?」と外国人のお客様からご相談をいただくケースも、ここ数年でぐっと増えています。
その正体が「デジタルノマド」と呼ばれる人たちです。観光客でも移住者でもない、いわば"第三の外国人"。彼らの存在が、日本の賃貸市場の常識を静かに、でも確実に塗り替えようとしています。
ひと言でいえば、デジタルノマドとはパソコン一台でどこでも仕事ができる人たちのこと。東京に住みながらニューヨークの企業のために働き、家賃は円安のおかげで実質"激安"——そんなライフスタイルを選ぶ外国人が、都心のマンション市場に新しい風を吹き込んでいます。この記事では、デジタルノマドとは何か、なぜ今日本が選ばれているのか、そして大家さんや不動産会社にとってのチャンスとリスクまで、丁寧にお伝えしていきます。
目次
- 1.なぜ今、外国人が「数ヶ月だけ」日本に住みたがるのか
- 2.実は外国人にとって"壁だらけ"だった日本の賃貸
- 3.スマホ一つで契約・決済——賃貸DXが壁を壊す
- 4.大家・管理会社はどう動く?チャンスとリスクの見極め方
- まとめ——ミナトスタイルが選ばれる理由
1. なぜ今、外国人が「数ヶ月だけ」日本に住みたがるのか

デジタルノマドとは何か
まず「デジタルノマド」という言葉の意味から整理しておきましょう。
デジタルノマドとは、インターネットさえつながっていればどこでも仕事ができる人たちのことです。"ノマド"は遊牧民を意味する英語で、特定の場所に縛られず、世界各地を移動しながら生活するライフスタイルを指します。フリーランスのデザイナーやエンジニア、外資系企業のリモート社員、YouTuberやInstagrammerといったコンテンツクリエイター、あるいはスタートアップを立ち上げながら世界を渡り歩く起業家——さまざまな職種の人が、この働き方を選んでいます。
共通しているのは「パソコンと安定したWi-Fiがあれば、どこが職場でも構わない」という点です。コロナ禍でリモートワークが世界的に普及したことで、この層は急速に拡大しました。アメリカのリサーチ会社MBOパートナーズの調査によれば、世界のデジタルノマド人口は2019年から2023年にかけて大幅に増加しており、特に欧米では若年層を中心に「場所に縛られない働き方」がごく普通のキャリア選択になりつつあります。
なぜ「日本」が選ばれるのか

世界中どこでも住めるのに、なぜわざわざ日本なのか。
安全で、清潔で、食事がおいしくて、Wi-Fiが速い。そして今は"安い"。最後の「安い」という点が近年とくに大きな理由になっています。円安の影響で、月収200万円以上のアメリカ人エンジニアから見れば、東京の家賃は「驚くほど割安」に映ります。ニューヨークのワンルームが月3,000ドル(約45万円)以上する一方、東京・港区の高級マンションでも月10〜15万円台から見つかります。生活コスト全体が抑えられるぶん、「日本でしばらく暮らしてみよう」という動機になりやすいのです。
加えて、「日本文化への憧れ」も欠かせない要素です。桜・温泉・ラーメン・アニメ……1週間の観光では物足りない。もっとディープに、住人として体験したい。そのニーズが数か月単位の「中長期滞在」という形になって現れています。ビザの面でも、日本は多くの国に対して観光目的での90日以内の滞在を認めており、デジタルノマドにとって「ビザなしで3か月住める国」として広く認知されています。
「インスタ映え」が空室を埋める時代
デジタルノマドの中でも特に注目したいのが、コンテンツクリエイター層です。彼らは滞在しながら日本の日常をSNSで発信し続けます。「麻布十番の窓から見える夜景が最高すぎる」「このマンションのロビー、ホテルみたいでリモートワークが捗る」——こうした投稿が世界中の視聴者に届き、「私も日本に住んでみたい」という連鎖を生みます。
観光庁が何億円もかけて海外向けPRをしなくても、住んでいる外国人が自発的に宣伝してくれる。大家さんにとっては空室が埋まり、地域にもお金が落ちる。デジタルノマドの受け入れは、単なる賃貸ビジネスの話を超えた経済効果を持っているのです。
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2. 実は外国人にとって"壁だらけ"だった日本の賃貸

「家を借りたいだけなのに」——ある外国人の体験
ニュージーランド出身のフリーランスデザイナー、Sarahは3か月間、東京・中目黒で暮らす計画を立てました。ビザもある、お金もある、日本語アプリも入れた。あとは部屋を借りるだけ——そのはずでした。最初の不動産屋を訪れてから、実際に入居できるまで3週間かかりました。最終的に借りられたのは希望の物件ではなく、「外国人OKの物件」として紹介された駅から20分の築35年のアパートでした。
なぜこんなことが起きるのか。日本の賃貸が外国人にとっていかに「壁だらけ」なのかを、具体的に見ていきましょう。
日本の賃貸が抱える5つの壁
最初の壁は「保証人問題」です。日本の賃貸では連帯保証人を立てるのが慣習で、もし家賃を払えなくなったとき代わりに払ってくれる人を事前に指定しておく必要があります。日本人なら親や兄弟、あるいは会社の上司に頼むケースが多いですが、日本に知人のいない外国人には最初から詰んでいる問題です。近年は家賃保証会社が普及しましたが、外国籍の審査を受け付けない会社も少なくないのが現状です。
次の壁は「2年契約」という日本独自の慣習です。途中解約には違約金が発生するため、3か月しか住むつもりのないデジタルノマドには構造的に合わない仕組みになっています。ホテルやAirbnbは短期向けですが、キッチンがなく洗濯機もない。あくまで「暮らす体験」がしたいデジタルノマドには、物件タイプの選択肢が極端に狭くなります。
3つ目は「言語の壁」です。契約書・重要事項説明・入居ルール・管理会社への連絡、すべてが日本語で書かれています。「サインした内容がわからなかった」というトラブルが後を絶たないのも、この壁が根底にあるからです。
4つ目は「初期費用の高さ」です。敷金・礼金・仲介手数料・火災保険・鍵交換費用などを合計すると、月家賃の4〜6か月分が入居前に必要になることがほとんどです。3か月しか住まないのに50万円以上を先払いするとなれば、費用対効果がまったく合いません。
そして5つ目が「審査という見えない壁」です。「外国籍お断り」とは明記されていなくても、審査の段階で弾かれるケースは今も続いています。国土交通省の調査によれば、外国人入居者を受け入れている民間賃貸住宅は全体の約39%にとどまっています。
これらの壁が積み重なることで、「日本に住みたい外国人」と「外国人に貸したい大家さん」の双方が、機会を逃し続けているのが現状です。
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3. スマホ一つで契約・決済——賃貸DXが壁を壊す

「来日前に、日本の部屋が決まっていた」——そんな体験談を話すデジタルノマドが増えています。スマホで物件を検索し、英語でチャットして内見をビデオ通話に切り替え、パスポート写真を送り、電子署名をして、クレジットカードで初月分を払う。飛行機に乗る前には入居確定のメールが届く、というわけです。2〜3年前まではほぼ不可能だったこの流れが、今では現実になりつつあります。
電子契約で「日本語の壁」が消えた
2022年の宅建業法改正により、不動産取引における重要事項説明のオンライン化が解禁され、契約書の電子化にも法的根拠が整いました。電子契約であれば、画面上で英語や中国語、韓国語など多言語表示に切り替えながら内容を確認できます。対面での「早口の日本語説明」を録画や字幕付きのビデオ通話で代替するサービスも増え、「サインした内容がわからなかった」という構造的なトラブルが減りつつあります。
銀行口座がなくても家賃を払える
「日本の銀行口座からの振込」が家賃支払いの前提だった時代は、徐々に変わっています。WiseやPayPalなどの国際送金サービスを使えば、海外の銀行口座から日本円建ての家賃を直接支払えます。手数料は数百円程度に抑えられ、送金速度も数時間以内。クレジットカード払いに対応する物件も増えており、「銀行口座がない」という問題は事実上消えつつあります。
スマートロックが「鍵の受け渡し」をなくした
スマートロックを導入した物件では、入居確定と同時にスマホにデジタルキーが届きます。深夜到着でも、担当者が不在でも、言語が違っても関係ありません。退去もアプリ上でチェックアウトするだけで完結します。かつて多かった「深夜便で到着したら鍵を受け取れなかった」「鍵をなくして高額請求された」というトラブルが、根本から起きなくなるのです。
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4. 大家・管理会社はどう動く?チャンスとリスクの見極め方

デジタルノマドは「理想的な入居者」になれる理由
デジタルノマドを「やんちゃな旅行者」と誤解している方もいますが、実態はほぼ逆です。彼らの多くは収入が安定しており、「静かに仕事に集中できる環境」を何より優先します。騒音を出せば自分の仕事も捗らない、部屋を汚せば次の滞在先でも困る、SNSに悪評を書かれれば同業者中に広まる——自己管理ができない人間は、デジタルノマドとしてそもそも生き残れません。
加えて、彼らは「生きた広告」にもなります。きれいに整った部屋の写真が「#Tokyo #digitalnomad」のタグとともに世界に拡散されれば、次の入居希望者が自然と集まってきます。コストゼロで世界中にPRしてもらえる副産物は、大家さんにとって見逃せない価値です。
「割増家賃」が成立する、不思議な市場原理
円安が続く日本では、外国人の目には日本の家賃が「驚くほど安い」と映ります。ニューヨークのワンルームが月45万円以上する感覚で東京を見れば、港区・渋谷区のハイグレード物件でも「お得」に感じる層が確実に存在します。国内向けに15万円で貸している部屋を、家具・家電・Wi-Fi込みの「すぐ住める状態」に整えて18〜20万円で外国人向けに提供しても、入居者は「それでも安い」と感じます。空室リスクを減らしながら家賃単価を上げる——この二つを同時に達成できるのが、外国人向け短期賃貸市場の大きな魅力です。
管理会社に求められる「新しい役割」
大家さんが個人で外国語対応、文化摩擦の調整、法的確認のすべてをやろうとすれば当然限界があります。今、変化に対応する管理会社に求められているのは、従来の「家賃集金と修繕手配」だけにとどまらない総合的な外国人対応力です。多言語チャット対応、外国人向け保証サービスの取りまとめ、スマートロック管理、入退去のオンライン完結——これらをパッケージで提供できる会社が、これからの競争を制していきます。
大家さんにとっての理想は「管理会社に任せれば、自分は一切英語を話さなくていい」という状態です。少子化で国内の賃貸需要が長期的に減少していく中、インバウンドは増え続けています。「日本人だけに貸す」という前提で設計された物件や仕組みは、時間とともに競争力を失っていきます。変化は一気には来ませんが、確実に来ます。最初の一歩を踏み出した会社が、5年後に大きなアドバンテージを持っているはずです。
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まとめ

デジタルノマドという"第三の外国人"の急増は、日本の賃貸市場にとってもはや無視できないトレンドです。壁だらけだった日本の賃貸も、テクノロジーの普及と法制度の変化によって少しずつ開かれつつあります。
外国人の方のお部屋探しを成功させるには、こうした変化を深く理解している仲介会社を選ぶことが何より大切です。その点で、ミナトスタイルには他社にはない強みが揃っています。
英語対応スタッフが在籍しているため、外国人のお客様とのやり取りを一切日本語に頼る必要がありません。保証人不要の物件を多数取り扱っているので、日本に知人がいない外国人の方でも安心して審査に臨んでいただけます。また、初期費用を大幅に抑えられる敷金礼金ゼロ物件も豊富に揃えており、「3か月住むのに50万円かかる」という壁を取り除いた状態でお部屋探しをスタートできます。
MINATOSTYLEはGoogle口コミ4.9!
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執筆監修

趙暉士(ちょうきし)|宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
賃貸リーシングとコンサルタントを経験し、後に売買仲介業務に従事。
(株)大京穴吹不動産、都心営業部、渋谷店、流通営業1課

