
気づけば周りはコンクリートだらけ?知らずに選ぶと後悔する?コンクリート物件が増える意外な理由
「最近、街を歩いているとコンクリートの建物がやけに目につくな」と感じたことはありませんか?
麻布十番や表参道、中目黒あたりを歩けば、グレーの外壁がスタイリッシュなマンションや、店内がコンクリートむき出しのカフェがあちこちにあります。賃貸サイトを眺めていても、「打ちっぱなし」「コンクリート調」といったワードを見かける機会がぐっと増えました。実際、コンクリートマンションはデザイナーズ物件の中でも根強い人気があり、「次はああいう部屋に住んでみたい」という声を私たちもよくいただきます。
でも、ちょっと待ってください。コンクリートの部屋は見た目がおしゃれな分、住んでみて初めて気づく「意外な落とし穴」もあるんです。
この記事では、コンクリート物件がここまで増えた理由と、知らずに選ぶと後悔しがちなデメリット、そして失敗しないための選び方までをわかりやすく解説します。これからお部屋探しを始める方は、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
1. そもそも「コンクリート物件」とは?

「コンクリート物件」は見た目で決まる
ここでいう「コンクリート物件」とは、建物の構造ではなく、グレーで無機質なコンクリートの質感を見た目に取り入れた物件のことです。外観がコンクリートむき出しのデザイナーズマンションや、室内の壁・天井・床がグレーのコンクリート風に仕上げられた部屋を思い浮かべてもらうとわかりやすいと思います。
街を歩いていて「最近こういう建物が多いな」と感じるのは、まさにこの「コンクリートの見た目」を持つ物件が増えているからなんです。
本物のコンクリート「打ちっぱなし」
コンクリート物件の代表格といえば「打ちっぱなし」です。型枠に流し込んで固めたコンクリートの表面を、塗装やタイルで覆わずにそのまま仕上げとして見せる手法のことをいいます。壁の表面にポツポツと並ぶ小さな丸い穴は、施工時に型枠を固定していた金具の跡(セパ穴)で、打ちっぱなしならではの特徴です。
建築家・安藤忠雄さんの作品などをきっかけに広く知られるようになり、「おしゃれなデザイナーズ物件」の象徴として長く人気を集めてきました。きれいに仕上げるには高い施工技術が必要で、職人の腕がそのまま見た目に表れるのも、本物ならではの魅力といえます。
実は増えているのは「コンクリート風」
一方で、近年とくに増えているのがコンクリート“風”の物件です。たとえば、次のようなものがあります。
- 外観:コンクリートの質感を再現した外壁材を使ったマンションやアパート
- 内装:コンクリート柄の壁紙やフロアタイル、モルタル調の塗り壁で仕上げた部屋
- リノベーション:天井や壁の仕上げ材をはがし、もともとのコンクリートをあえて見せる「スケルトン天井」の部屋
つまり、「見た目はコンクリート」でも、建物自体は木造や鉄骨造ということも珍しくありません。
見た目だけで判断するのは要注意
「コンクリートっぽい見た目=頑丈で静か」と思い込んでしまうと、入居後に「思ったより音が響く」とギャップを感じることがあります。見た目のデザインと建物の構造は、まったく別物なんです。
気になる物件を見つけたら、募集情報の「構造」欄(木造・鉄骨造・RC造・SRC造など)もあわせて確認しておくと安心です。
2. コンクリート物件が増えている意外な理由

「生活感を消したい」人が増えた
ひと昔前の賃貸物件といえば、白い壁にブラウンのフローリングが定番でした。ところが最近は、カフェやホテル、ギャラリーのような「生活感のない空間」に住みたいという人が増えています。
コンクリートのグレーはそれ自体が主張しすぎず、家具や小物を置くだけで空間がまとまるのが魅力です。黒いアイアン家具を合わせればインダストリアル風に、レザーソファと間接照明を合わせればラグジュアリーなホテルライク空間に、観葉植物を置けばナチュラルな雰囲気に。テイストを選ばず、性別や年代を問わず好まれやすいことが、物件のデザインとして採用されやすい理由になっています。
SNSで「映える部屋」が求められるようになった
意外と大きいのがSNSの影響です。インテリア投稿やルームツアー動画が人気になり、「部屋そのものが写真や動画の背景になる」時代になりました。
コンクリートの壁は、写真に撮ると陰影が出て、それだけでおしゃれな雰囲気になります。白い壁紙の部屋よりも“絵になる”ため、お部屋探しの段階で「コンクリート」「打ちっぱなし」を条件に入れる方も少なくありません。物件サイトでも写真映えする部屋は目に留まりやすく、オーナーや管理会社にとっても集客面でのメリットがあるんです。
建材が進化して「本物でなくてもいい」時代に
もうひとつの意外な理由が、建材の進化です。かつてコンクリートの見た目を手に入れるには、本物の打ちっぱなしで建てるしかなく、コストも施工の難しさもありました。
しかし今は、コンクリートの質感を再現した外壁材や壁紙、フロアタイルの品質が大きく向上し、写真では本物と見分けがつかないほどのものもあります。外壁材を変えるだけでコンクリート風の外観になり、室内も壁紙を一面変えるだけで印象をがらりと変えられます。手頃なコストで「おしゃれな物件」にできるようになったことが、コンクリート物件を一気に増やした大きな要因です。
オーナーにとって「差別化」の武器になる
供給する側の事情もあります。賃貸物件は築年数が経つほど、間取りや設備だけでは新しい物件に勝つのが難しくなります。そこで、リフォームやリノベーションのタイミングでコンクリート風のデザインを取り入れ、「デザイン性」で選んでもらおうとするオーナーが増えているんです。
天井の仕上げ材をはがしてコンクリートをそのまま見せるリノベーションは、天井が高く開放的に見える効果もあり、古い物件を魅力的に生まれ変わらせる手法として人気があります。デザイン次第で家賃を維持しやすく、空室対策にもつながるため、オーナー側にとっても選ぶ理由がはっきりしているわけです。
3. 知らずに選ぶと後悔する?コンクリート物件の意外なデメリット

夏は暑く、冬は寒いことがある
本物の打ちっぱなし物件でよく聞かれるのが、「思っていたより暑い・寒い」という声です。コンクリートは熱をため込みやすい性質があり、夏は日中に温まった壁が夜になっても熱を放ち続け、冬は冷えきった壁が室内の暖かさを奪っていきます。
とくに、外壁の内側に断熱材が入っていない、あるいは薄い物件では、この傾向が強くなります。エアコンの効きが悪く感じたり、光熱費がかさんだりすることもあるため、見た目だけで飛びつくのは禁物です。
結露やカビが発生しやすい
暑さ・寒さと関係が深いのが結露です。冬場、冷えたコンクリートの壁や窓に室内の暖かい空気が触れると水滴がつきやすく、放っておくと壁の表面や家具の裏側にカビが生えてしまうことがあります。
さらに、新築のコンクリート建物は、コンクリート自体が含んでいる水分が数年かけて抜けていくため、入居してしばらくは湿気がこもりやすいといわれています。打ちっぱなしの壁は表面に細かな凹凸があるため、一度ついた黒ずみは落としにくいのも難点です。こまめな換気や除湿など、ほかの物件以上に湿気対策を意識する必要があります。
壁に穴を開けられず、飾りにくい
意外と見落としがちなのが、インテリアの自由度です。打ちっぱなしの壁はとても硬く、画鋲や釘はまず刺さりません。賃貸の場合はそもそも壁への穴開けが禁止されていることも多く、絵や時計を掛けたくても難しいケースがあります。
「おしゃれな壁に好きなアートを飾りたい」と思って選んだのに、実際は何も掛けられなかった……というのは、よくある後悔のひとつです。
音が響きやすく、落ち着かないことも
コンクリートの壁や床は硬く、音を吸収しにくいため、室内で声や足音が反響しやすい傾向があります。家具が少ないミニマルな部屋ほど響きやすく、テレビの音や話し声がワンワンとこもって聞こえることもあるんです。
また、前の章でお話ししたとおり、「コンクリート風」の物件は見た目がコンクリートでも構造は木造ということもあります。「コンクリートっぽいから静かだろう」と期待して入居すると、隣や上の階の生活音が想像以上に聞こえて驚くかもしれません。
デザイン料込みで家賃が割高になりがち
コンクリート物件は「デザイナーズ物件」として扱われることが多く、同じエリア・同じ広さの物件と比べて家賃が高めに設定されているケースがあります。その分、収納が少なかったり、デザイン優先で動線が使いにくかったりと、実用性が後回しになっていることも。
おしゃれな雰囲気にお金を払う価値があるかどうか、暮らしやすさとのバランスで冷静に判断することが大切です。
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4. 後悔しないためのコンクリート物件の選び方

まずは「構造」欄を確認する
最初にチェックしたいのが、募集情報にある「構造」の欄です。見た目がコンクリートでも、建物が木造なのか、鉄骨造なのか、RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)なのかで、住み心地は大きく変わります。
反対に、「コンクリート風の内装が好き」という理由だけで選ぶなら、構造にこだわりすぎる必要はありません。ただしその場合は、「音の聞こえ方は構造なり」と割り切っておくと、入居後のギャップを防げます。
断熱と部屋の位置を確かめる
本物の打ちっぱなし物件を検討するなら、外壁に断熱材が入っているかどうかを不動産会社に確認しておくと安心です。その場でわからなくても、管理会社に問い合わせてもらえることがあります。窓が複層ガラス(ペアガラス)かどうかも、暑さ寒さや結露を左右する大事なポイントです。
あわせて注目したいのが部屋の位置です。外気に触れる面が多い角部屋や、屋根からの熱を受けやすい最上階は、暑さ・寒さの影響を受けやすくなります。日当たりや方角も含めて、季節ごとの過ごしやすさをイメージしてみましょう。
ちなみに、新築のコンクリート建物は最初の数年は湿気がこもりやすい傾向があるため、新築・築浅物件を選ぶ場合は、換気設備がしっかりしているかもあわせて確認しておくと安心です。
内見では「結露の跡」と「換気」をチェック
内見のときは、ぜひ窓まわりや壁の隅、クローゼットの中を見てみてください。黒ずみやシミ、カビの跡があれば、結露しやすい部屋のサインです。サッシのパッキンや、窓下の床まわりも見落としがちなチェックポイントです。
換気扇や24時間換気システムが付いているか、窓が開けやすい位置にあるかも確認しておきましょう。湿気を逃がしやすい部屋かどうかで、結露やカビのリスクは大きく変わります。
音の響き方を自分の耳で確かめる
内見では、部屋の中で軽く手を叩いたり、普段どおりの声で話したりして、音の響き方を確かめてみましょう。反響が気になる場合でも、ラグやカーテン、布張りのソファなどで和らげることができるので、入居後の家具選びの参考にもなります。
隣や上の階の生活音が気になる方は、平日の夜や休日など、住人が家にいそうな時間帯に内見するのもおすすめです。
壁の使い方と家賃のバランスを考える
入居前に、壁に穴を開けてもいいか、どこまでが原状回復の対象になるかを確認しておきましょう。壁に飾れない場合でも、突っ張り式の棚や立てかけるタイプのミラー、イーゼルなどを使えば、おしゃれな空間づくりは十分楽しめます。
最後に、家賃が周辺の相場と比べてどうかもチェックしておきたいところです。同じエリアの似た条件の物件と比べて、デザインの分だけ高くなっていないか、収納や間取りなどの使い勝手と見合っているかを冷静に見極めましょう。
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まとめ
コンクリートマンションが人気を集め、街にどんどん増えている背景には、生活感のない空間を求める人の増加やSNSの影響、建材の進化、そしてオーナーの差別化戦略など、さまざまな理由がありました。
コンクリートの見た目は、それだけで暮らしを特別なものにしてくれる魅力があります。一方で、暑さ・寒さや結露、音の響き、家賃の割高感など、知らずに選ぶと後悔しやすいポイントがあるのも事実です。だからこそ、デザインに惹かれたときこそ一歩立ち止まり、構造や断熱、換気、音といった「住み心地」の部分もしっかり確認することが大切です。

執筆監修

趙暉士(ちょうきし)|宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
賃貸リーシングとコンサルタントを経験し、後に売買仲介業務に従事。
(株)大京穴吹不動産、都心営業部、渋谷店、流通営業1課


