
隣の部屋なのになぜ家賃が違う?同じ建物内の「格差家賃」とは!
「同じマンション、同じ間取りのはずなのに、なぜか隣の部屋より家賃が高い」。賃貸物件を探していると、こうした疑問にぶつかることがあります。内見の際に担当者から「このお部屋は8万円ですが、上の階の同じ間取りは8万5,000円です」と説明されて、思わず首をかしげてしまった方もいるのではないでしょうか。
実は、同じ建物内で家賃に差が生まれること自体は、不動産業界ではごく普通に起きていることです。階数や方角、眺望、設備の状態など、いくつもの要素が積み重なった結果として、部屋ごとに違う家賃が設定されています。本当の問題は、その理由が入居者にきちんと説明されないまま、契約だけがどんどん進んでしまうことにあるのです。
この記事では、「同じ建物内でなぜ家賃差が生まれるのか」という素朴な疑問について、その理由から納得感の考え方、そして内見時に確認しておきたいポイントまで、順を追ってじっくり解説していきます。
1. 同じ建物内でも家賃に差が出るのはなぜ?

「同じ建物・同じ間取り」なのに家賃が違うという不思議
賃貸物件を探していると、同じマンションの、同じ間取りタイプであるはずなのに、部屋によって家賃が異なるケースに出くわすことがあります。内見の際に「この部屋は8万円ですが、上の階の同じ間取りは8万5,000円です」と説明され、疑問に感じた経験がある人も少なくないでしょう。
実際に住み始めてから、しばらく経って「隣の部屋の方が家賃が安かった」と知り、驚いたというエピソードもよく耳にします。SNSや口コミサイトを見ても、こうした「家賃格差」に対する戸惑いの声は意外と多く見つかります。同じ建物・同じ広さの部屋に住む人同士がふとした会話で家賃の話になり、そこで初めて差に気づいてモヤモヤした気持ちを抱えたまま暮らし続けている、という方も少なくないのです。
どのくらいの差が生まれるのか
同じ建物内での家賃差は、物件の規模やグレードによって幅がありますが、ワンルームや1Kクラスであれば数千円から5,000円程度、ファミリータイプの2LDK以上になると1万円から2万円程度の差がつくことも珍しくありません。タワーマンションのように階数の多い物件になると、階数によっては数万円単位の差が出ることもあります。
一見すると小さな差に見えても、2年契約で考えれば数万円から数十万円という負担差につながっていきます。とくに高級賃貸物件は月額そのものの絶対額が大きいため、わずかな条件の違いが年間ベースで見ると決して無視できない金額差になってしまうのです。
家賃は「大家の気分」で決まっているわけではない
こうした差を目にすると、「大家や管理会社が適当に金額を決めているのではないか」と感じてしまう人もいるかもしれません。しかし実際には、階数や方角、日当たりの良さ、眺望や抜け感、角部屋かどうか、リフォームや設備の新しさ、さらには契約時期による市場相場の変動といった、いくつもの要素を組み合わせながら家賃は算出されています。
これらの要素は単独で家賃を決めているわけではなく、複合的に重なり合うことで、同じ建物内でも部屋ごとに異なる金額が形作られていきます。管理会社や大家は、周辺相場や過去の成約事例なども踏まえながら、こうした条件を点数化するようにして家賃を決めているケースが一般的です。
問題は「差があること」より「説明されないこと」
家賃に差があること自体は、部屋ごとの条件が異なる以上、ある程度は自然なことといえるでしょう。しかし、実際に多くの入居者が不満やモヤモヤを感じているのは、「差がある理由が明確に説明されないまま契約が進んでしまうこと」の方なのです。
内見時や契約時に「なぜこの金額なのか」という根拠がきちんと共有されなければ、入居者は納得感を持てないまま住み続けることになってしまいます。とくに、同じ建物の他の部屋の家賃を後になって知ってしまった場合には、「自分だけ損をしているのではないか」という不信感につながりやすくなるものです。
2. 家賃差を生む5つの要因

階数
一般的に、階数が上がるほど家賃は高くなる傾向にあります。これは、上層階の方が眺望に恵まれ、騒音も少なく、防犯性も高いといったメリットを持っているためです。逆に低層階では、通行人からの視線や外部からの音が気になりやすく、その分だけ家賃が抑えられていることが多いようです。タワーマンションのように階数の多い物件では、1階違うだけで数千円から1万円以上の差がつくこともあり、最上階ともなると「プレミアム価格」が設定されることもあります。都心の高級賃貸では、最上階やペントハウスに特別な付加価値が反映されるケースも珍しくありません。
方角・日当たり
方角も家賃差を生む大きな要因のひとつです。一般的に南向きの部屋は日当たりが良く人気が高いため、他の方角より家賃が高めに設定される傾向にあります。反対に北向きや東向きの部屋は日当たりの面でやや不利とされ、その分家賃が抑えられがちです。ただし、地域や周辺環境によっては「西日が強すぎて夏場は敬遠される」というように、方角の評価が一律ではない場合もあります。周辺に高い建物があるかどうかによっても、同じ方角であっても体感の日当たりは大きく変わってくるものです。
眺望・抜け感
窓からの景色や、前面に高い建物がなく開放的に感じられる「抜け感」も、家賃に影響を与える要素です。同じ階数、同じ方角であっても、目の前に別の建物が迫っている部屋と、公園や川など開けた景色が見える部屋とでは、体感的な満足度が大きく異なります。とくに高級賃貸マンションでは、東京タワーやレインボーブリッジ、皇居の緑といった都心ならではの眺望が、明確な付加価値として価格に反映されることも少なくありません。
角部屋かどうか
角部屋は2方向以上に窓があることが多く、採光や通風に優れているため、人気の高い条件のひとつとされています。そのため、同じ間取り、同じ階数であっても、角部屋は建物の内側にある中部屋より家賃が高く設定されることが一般的です。一方で、角部屋は外気の影響を受けやすく、夏は暑く冬は寒いと感じる方もいるため、必ずしも誰にとってもメリットばかりというわけではありません。
リフォーム・設備の状態、契約時期による相場変動
同じ建物内でも、部屋ごとにリフォームの実施時期や設備の新しさが異なれば、それがそのまま家賃差につながります。最近リフォームされた部屋や、独立洗面台、浴室乾燥機、食洗機といった設備が新しい部屋は、それだけ家賃が高めに設定されやすくなるものです。
また、募集時期による市場相場の変動も見逃せません。同じ部屋であっても、1月から3月にかけての引っ越しシーズンのような繁忙期に募集されたときと、閑散期に募集されたときとでは、設定される家賃自体が違ってくることがあります。そのため、入居した時期が違うだけで、同じ建物・同じ部屋タイプでも家賃に差が生まれてしまうことがあるのです。
3. 「納得できる差」と「納得しにくい差」の境界線

納得しやすい差の特徴
眺望やリフォームの有無、設備の新しさなど、実際に部屋を見比べれば違いがはっきり分かるものは、比較的納得しやすい差だといえます。また、上層階が高い、南向きが高い、角部屋が高いといった、広く知られた不動産の常識に沿っている差についても、多くの人が「まあ妥当だろう」と受け止めやすいものです。さらに、内見や重要事項説明の際に家賃設定の根拠についてある程度の説明を受けていれば、たとえ差があっても納得感はぐっと高まります。つまり、差の理由が体感できる、一般的に知られている、そして事前に伝えられている、という条件がそろっているほど、入居者は差を受け入れやすくなるのです。
納得しにくい差の特徴
一方で、同じ階、同じ方角、同じ間取りなのに家賃だけが違い、その理由が見た目からはまったく分からないという場合は、不満につながりやすくなります。入居後や、他の部屋の住人との何気ない会話の中で初めて家賃差を知ったというケースも同様です。契約時に金額の根拠について特に説明がなく、「相場だから」といった程度の案内しかなかった場合も、後になって疑問が湧いてくるものです。また、自分が契約したタイミングがたまたま相場の高い時期だった、という「運」による差についても、なかなか素直には受け入れづらいものでしょう。
とくに問題になりやすいのは、合理的な理由があるにもかかわらず、それが入居者にきちんと伝わっていないケースです。理由自体は妥当であっても、説明がなければ「不透明」「不公平」という印象だけが残ってしまいます。
「差の有無」より「説明の有無」が納得感を左右する
ここまでの内容からも分かるとおり、入居者の納得感を大きく左右するのは、家賃差そのものの大きさというよりも、その差について事前にどれだけ説明を受けているかという点です。同じ1万円の差であっても、「角部屋で日当たりが良いため」ときちんと説明を受けた場合と、特に説明もなく後から金額だけを知った場合とでは、受け止め方がまったく異なってきます。
つまり、家賃差に対する不満の多くは、差そのものへの不満というよりも、情報が十分に開示されていないことへの不満である場合が多いといえるでしょう。だからこそ、物件選びの段階で「納得のいく説明をしてくれる仲介会社」を選ぶことが、後悔しない部屋探しの大きなポイントになってきます。
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4. 大家や仲介への確認方法

家賃差に対する不満の多くは、説明不足から生まれるものです。裏を返せば、契約前に自分から確認する姿勢を持つことで、納得感を持って部屋を選べる可能性がぐっと高まります。ここでは、内見や契約の場面で実際に使える確認方法を紹介していきます。
内見時に聞いておきたい質問
内見の際は、担当者に対して素直に疑問をぶつけてみることをおすすめします。「同じ建物内で、この部屋より家賃が高い部屋や安い部屋はありますか、その理由は何ですか」と聞いてみたり、「この家賃には階数や方角、角部屋であることなど、どの要素が影響していますか」と尋ねてみたりするとよいでしょう。あわせて、リフォームの時期や、募集を開始したタイミング、時期によって家賃が変動しているかどうかも確認しておくと安心です。
こうした質問は、決して失礼にはあたりません。むしろ、家賃設定の根拠を尋ねることは、賃貸契約における当然の確認事項のひとつだと考えてよいでしょう。担当者がその場で答えられない場合には、大家や管理会社に確認してもらうよう依頼してみてください。
「同じ建物の募集状況」を自分でも調べる
仲介担当者からの説明だけに頼るのではなく、自分でも複数の不動産ポータルサイトを使って、同じ建物の他の部屋が募集されていないか確認してみるとよいでしょう。もし同時期に他の部屋も募集されていれば、階数や方角、家賃を比較することで、担当者の説明が妥当かどうかを自分でもある程度検証できます。物件情報が見つからない場合でも、「この建物の他のお部屋の募集状況も教えていただけますか」と仲介担当者に依頼することで、比較材料を得られることがあります。
重要事項説明の際に「金額の根拠」を確認する
契約直前に行われる重要事項説明は、物件の詳細な条件を確認できる貴重な機会です。この場では、家賃だけでなく、家賃改定の可能性やタイミング、更新料や管理費といった家賃以外にかかる費用の内訳、同条件の部屋が複数ある場合の空室状況についても、あわせて確認しておくと安心です。こうした点を契約前にきちんと確認しておくことで、後になって「知らなかった」「聞いていなかった」という不満を防ぎやすくなります。
疑問点は口頭でのやり取りだけで済ませず、可能であればメールなど記録が残る形で質問し、回答を得ておくこともおすすめです。後になって言った言わないのトラブルを避けられるだけでなく、担当者側もより丁寧に、根拠を持って回答してくれる傾向があります。
まとめ
同じ建物内であっても、階数や方角、眺望、角部屋かどうか、リフォームの状況、契約時期など、さまざまな要因が複合的に重なることで家賃には差が生まれます。差があること自体は不自然なことではありませんが、入居者が本当に納得できるかどうかを左右するのは、差の大きさではなく、その理由がきちんと説明されているかどうかという点に尽きます。
部屋探しの際は、家賃の数字だけを見るのではなく、なぜこの金額なのかを担当者に確認し、可能であれば同じ建物内の他の部屋の状況も比較してみることをおすすめします。それだけで、契約後に「知らなかった」と後悔する場面をぐっと減らすことができるはずです。

執筆監修

趙暉士(ちょうきし)|宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
賃貸リーシングとコンサルタントを経験し、後に売買仲介業務に従事。
(株)大京穴吹不動産、都心営業部、渋谷店、流通営業1課



